2002年8月20に「紙 Professional」ver2.1が公開されました。このバージョンアップによって、WebページからHTML形式で取り込んだ際の画像フォルダの管理方法が、それまでの「絶対パス」方式から「相対パス」方式へと変更されました。
そして、8月25日には「紙 Professional」ver2.15が公開され、更なる改良が進められました。
このページでは、「相対パス」方式が新しく導入された事によってどのような問題が解決されたのか、また若干の注意事項(一部の環境の方のみが対象です)について説明します。
1. 「絶対パス」方式の限界
紙 Professional ver2.0以前では、WebページをHTML形式で保存する際、ページ内で使用されている画像の管理に紙独自の「絶対パス」方式が用いられていました。
この方式では、取り込んだHTMLファイルとそのファイル内で使用されている画像を同一の場所で管理するのではなく、画像だけを全てひとつのフォルダ以下(デフォルトでは"HtmlImage"フォルダ)にまとめて管理するものでした(詳しくはTips&FAQ No.1をご覧下さい)。
しかし、この方式には以下のような限界がありました。
- 取り込んだHTMLファイルをInternetExplorerで開いた時に画像が表示されない
- 他のPCへ一部のデータだけを移行させるのに手間が掛かる
- 紙独自の方式を用いているために、環境によっては一部の画像が表示されなかったり、表示までに時間が掛かることがある
そこで、これらの限界をすべて解決するために、ver2.1から「相対パス」方式が採用されました。
2. 「相対パス」方式の仕組み
「相対パス」方式は紙独自の方式ではなく、通常HTMLファイルから画像を指定する際に使用される「相対URI」の書式をそのまま使用しています。
「相対URI」とは以下のような指定方法で画像を呼び出すものです。
HTMLファイルでの指定:<IMG src="images/gazou.png">
画像フォルダの名前:images
画像ファイルの名前:gazou.png
そして、紙の「相対パス」方式はこの書式を元に、画像フォルダをHTMLファイル名の末尾に".files"を付けた名前で作成し、各HTMLファイルと同じ場所に保存するようになっています。
HTMLファイルでの指定:<IMG src="Sample.files/gazou.png">
HTMLファイルの名前:Sample.html
画像フォルダの名前:Sample.files
画像ファイルの名前:gazou.png
一番分かりやすい例でいうと、InternetExplorerの「名前を付けて保存」で"Webページ,完全"から保存したときに作成されるものと同じということです。
ちなみに、「相対パス」方式で取り込まれたHTMLファイルに対応する画像フォルダが存在する場合には、一覧リストのファイルアイコンの右上にピンク色のしるしが表示されます(「絶対パス」方式で取り込んだものには出ません)。
1. ファイルの移動コピー時の動作
「相対パス」方式が導入されたために、HTMLファイルを他の箱に移動する時に画像フォルダも一緒に移動しなければ、移動先で画像が表示されなくなってしまいます。
しかし、HTMLファイルを移動させるたびにエクスプローラから画像フォルダを手動で移動させるのでは手間が掛かり、絶対パス方式の時よりも不便になってしまいます。
そこで、紙ではWindowsのフォルダオプションでの「Webページとフォルダを対にして管理」する機能を利用して、HTMLファイルが移動・コピーされる時には、画像フォルダも共に移動・コピーされるようになっています。
画像フォルダ名を"HTMLファイル名.files"という形式にしているのもその為です。
しかし、残念ながらこのWindowsの機能はWindows Me以降のバージョンでしか搭載されていません。
そこで、Windows98などを使用していてこの機能を利用できない方のために、ver2.15で同じ機能を紙に独自に導入しました。
これによって、Windowsのバージョンによる機能制限はなくなりました。
2. 紙を用いないファイル移動時の注意
画像フォルダの同時移動の問題はver2.15での改良によって無くなりましたが、取り込んだファイルを紙以外から扱う時の注意事項について触れておきます。
先に述べたように、HTMLファイルを移動させた時に画像フォルダも同時に移動する機能はWinME以下の環境には含まれていません。
その為に、これらのWindowsでは紙を使わずにエクスプローラなどからHTMLファイルを移動させた時には、画像フォルダは同時に移動しませんのでご注意ください。
また同時移動機能を持つWindowsであっても、[フォルダオプション]の"Webページとフォルダを対にして管理"で「管理は別々に行います」が選択されている時にもこの機能は働きません。
つまり、WinMe以下の環境では紙の中で操作した時だけ画像フォルダも共に移動するということです。
(箱から箱,箱から箱以外の場所[デスクトップなど]への操作はOK、エクスプローラ内部での操作はダメ)
何らかの理由によって従来の「絶対パス」方式を使い続けたいという方は、「取り込みの設定」を開き、"画像を、全部一つの場所にまとめて管理する(絶対パス)"にチェックを入れてください。
ver2.0までは「絶対パス」で取り込んだファイルの画像管理を「相対パス」方式へ変換する機能が無かったので、紙をインストールしていないPCへ取り込んだ一部のHTMLファイルを画像も含めて移動・コピーさせることが難しかったのですが、ver2.1からConvHtml.exeというプログラムが付属しましたので、「相対パス方式」への変換が可能となりました。
ですので、「絶対パス」方式・「相対パス」方式のどちらで取り込んでも、他のPCとデータを交換することが出来ます。
「絶対パス」方式で取り込んだファイルを「相対パス」方式へ変換する方法は、以下になります。
- 相対パス方式へ変換したいHTMLファイルを一覧リストで選択し、その上で右クリック
- ポップアップしたメニューから「コピー」を選択
- 別の箱を開き、一覧リストでの箱名部分で右クリック
- ポップアップしたメニューから「ここに貼り付け」を選択
- 変換したいHTMLファイルを再び開き、再度一覧リストで右クリック
- ポップアップしたメニューから「画像を相対パスに切り替える」を選択
- 「画像の管理方法を変更する」というタイトルのプログラムが表示されるので、[変換実行]を押す
「変換は正常に終了しました」というダイアログが出れば、相対パスへの変換は完了です。
手順が多くて面倒に感じるかもしれませんが、慣れてしまえばすぐに出来ますし、"2"から"5"は変換元のHTMLファイル自体を相対パスに変換してもかまわない場合には、行わなくてもかまいません(単にファイルをバックアップしているだけですから)。